常照寺 吉野門

 早春の鷹ヶ峰は訪れる人も少なく、静かな参道の奥に常照寺のささやかな赤門があります。
この門は島原の名妓2代目吉野太夫が、この寺の日乾上人に帰依し、寄進したと伝えられています。
京の豪商灰屋紹益は、吉野との所帯を持つことを親に認められず、勘当の身となって家を出ます。
父の紹由はある日時雨にあって町家の軒先を借りたとき、
そこの婦人の優しいもてなしと気品のある振る舞いに感激します。
そのことを後日知人に語り、彼女こそが勘当までした息子紹益の妻だと知ります。
そして紹益22歳、吉野太夫26歳、二人は許されて晴れて夫婦になりました。