広沢の池

秋の夕日に照らされた広沢の池には、
嵯峨富士と呼ばれる朝原山の優美な姿を浮かべています。
紅葉で賑わう渡月橋界隈を抜け、北嵯峨のこの辺りまで来ると静かな秋の風情を覚えます。

平安時代中期、広沢の池は宇多天皇の孫寛朝僧正が、
朝原山の麓に遍照寺を建てその庭池として造られたと伝えられています。

池に浮かぶ観音島への橋を渡ると、写真の十一面千手観音石像と壱美白弁天社があります。
往時の観音島には金色の観音様が祀られており、
池の周囲には多宝塔、釣殿なども並んでいました。

池の畔にある児(ちご)神社には、
寛朝僧正の死を悲しんで池に入水し、亡くなった侍児が祀られています。

広沢の池は、昔から月の名所として知られ、
奈良の猿沢の池、大分の初沢の池と共に日本三沢の池に数えられています。
芭蕉の「名月や池をめぐりて夜もすがら」の句もここで詠まれたといわれ、句碑が建っています。



広沢の池   左 朝原山(遍照寺山)

                            池に遊ぶ水鳥       

観音島 弁天堂                           児神社