唐崎の夜雨

唐崎神社社殿の後ろ、湖畔に面して近江八景に数えられている霊松唐崎の松があります。

初代の松は千数百年前、舒明天皇のころに植えられたといわれ、
現在は3代目として明治20年に植えられたもので、左右に大きく枝を伸ばしています。

安藤広重は2代目の老松に降る夜の雨の姿を力強く浮世絵に描き、
その枝は湖水の上にまで伸びています。
松のそばには「唐崎の松は花よりおぼろにて」と刻まれた芭蕉の句碑が建っています。

唐崎神社は日吉大社の摂社です。
日吉大社の西本宮の祭神大己貴神(おおなむちのみこと)は天智天皇が都を大津に移されたとき、
大和の三輪山から琵琶湖を船で渡り坂本へ遷座されました。

このとき唐崎沖で膳所の漁師田中恒世から、粟飯を献じられました。
この風習は今に伝わり、4月の日吉山王祭では唐崎沖まで7基の神輿が船で出向き、
粟津の供御として粟飯が献じられています。

近江八景の碑                         唐崎神社 本殿  

          

    拝殿                            粟津の御供へ向かう山王神輿