三井の晩鐘

三井の晩鐘として知られる園城寺の鐘は、
姿の平等院、銘の神護寺とともに音の三井寺として天下の三名鐘に数えられています。

三井の晩鐘にも近江の昔話があります。
大津に住む漁師の若者が子供たちにいじめられていた蛇を助けてやりました。
後日若者を訪ねてきた女と二人は夫婦になり子供が生まれます。
しかし 若者に妻の本体が助けた蛇であったことを知られ、
泣く泣く子を残して妻は去っていきました。

その時、蛇は自分の目玉を取り出し、これを私の乳の代わりに子供にしゃぶらせて育ててください。
しかし 私は目を失い、これからのあなたや子供の成長を見ることはできません。
どうか1日が無事終わりましたら夕方に、
1年が終わりましたら除夜にあなたが三井寺の鐘を撞いてください。
私はその鐘の音をこれからの生き甲斐としますとの言葉を残して姿を消しました。
夫が恋しい妻への合図として夕暮れに撞く鐘の音は
大津の町にいつまでも余韻を残して流れていきました。

 梵鐘                              園城寺 金堂            

             

 園城寺 大門                          観音堂からの展望