芦刈山

芦刈山は平安時代の「大和物語」や謡曲「芦刈」に由来します。
謡曲「芦刈」では、難波に住む男が貧しいがゆえに妻と別れます。
妻は都に上って高貴な人の乳母となり裕福な生活を送っていましたが、
あるとき夫がふと恋しくなり訪ねて行き、難波で芦を刈ってさびしく生活する夫を見つけます。
ふたりはめでたく都へ揃って帰ってゆきました。

しかし大和物語では、再会した妻は高価な衣を夫に残して再び去って行き、
男は「君なくてあしかりけれと思ふには いとど難波の浦ぞすみうき」と歌を詠んでいます。
芦刈山の由来は大和物語に基づくのではないかと、ご神体老翁の寂しげな姿に、心が惹かれます。

ご神体のもとの衣装は16世紀の小袖で重文ですが、今は復元品が使用されています。
見送りの綴織「鶴図」、前掛けの段通「凝視」(獅子図)はいずれも山口華楊の原画です。
胴掛けは尾形光琳原画の「燕子花図」です。



前掛け 山口華楊 獅子図                     会所 飾りつけ

            

ご神体 芦刈の翁                      重文小袖 山鉾最古の衣装