安祥寺

毘沙門堂から疏水に沿って15分ばかり歩くと吉祥山安祥寺に着きます
常は公開されていませんが、今春の特別拝観に訪ねました。

このお寺は嘉祥元年(848)
仁明天皇の皇后で文徳天皇の生母である藤原順子(のぶこ)の発願により創建されました。

寺は上寺と下寺に分かれ、上寺は背後の山頂に、下寺はJR山科駅周辺に建てられ、
大伽藍や塔頭700余が並ぶ、東山科一帯を占める大寺院でした。

しかし平安時代の末には盛時の面影はなく、
応仁文明の乱で上下の寺ともほとんどが灰燼に帰しました。
寺領の一部は毘沙門堂建設時に失われ、
江戸時代に入ってようやく現在の姿に復元されました。

しかし上寺はなく、十一面観音を安置する本堂、開山堂、地蔵堂、鐘楼が残るのみで、
明治39年に焼失した多宝塔の石の基壇が寂しく残されていました。

京都国立博物館に寄託されている安祥寺の五智如来坐像5体(平安)が、
今春国宝に指定されたことは明るいニュースでした。

 本堂への石段  地蔵堂 
                

洪鐘  
 
多宝塔址