日吉大社 鼠社

坂本日吉大社参道にある旧竹林院の道路を隔てた東にひっそりと鼠社があります。
太平記や平家物語には次のような伝説が記されています。

平安時代の中ごろ、白河天皇は皇子の誕生を願い三井寺の高僧頼豪に祈願を依頼しました。
皇子が無事誕生し、頼豪はその褒美として三井寺に念願の戒壇院設立の許可を求めます。
しかし、先に戒壇院を持つ延暦寺はそれに猛反対し、設立勅許は取り消されました。

そのことを怨んだ頼豪は己を犠牲にして100日間の断食に入り、
呪いによって皇子敦文親王は4歳で夭折します。
そして頼豪は鉄の牙と石のごとき体を持った巨大な鼠となり、
8万4千匹の鼠を率いて比叡山を襲い、経巻や仏像を食い荒らしました。
その被害を恐れた延暦寺はこの地に鼠の霊を鎮める鼠社を建てました。

かっては鼠除けのご利益があるとされましたが、この頃家庭では鼠も見られず、
これらの歴史を語る説明札もなく、小さな祠にお参りする人の姿はほとんど見られません。

新春の日吉大社   日吉大社 子年の絵馬
           
鼠社の賽銭箱     延暦寺 戒壇院