日野 方丈庵

法界寺から東へ山路をたどること約1km、道を遮るように張り出した大岩が方丈石で、
その上に方丈の庵跡を示す碑があります。
長明はここで自分の人生を振り返り方丈記を書き上げました。

彼の人生においては安元の大火、治承の辻風、
福原遷都、養和の大飢饉それに元暦の大地震と天変地異が続き、
京の町には死人が路頭にあふれ異臭を放つといった無常の世相が続いていました。

今長明は喧騒の俗世を離れ、人間関係のわずらわしさを絶ち、
すべてを捨ててこの山中に独居しています。
四季の花鳥を友とし、松風や谷の水音に合わせて琴を弾き、
西の入日に阿弥陀如来の来迎を願い、一期の楽しみを転寝(うたたね)に求めます。
至福のひとときを綴ったこの文章に、本当の幸せとは何かを教えられます。

建保4年(1216)閏6月10日 鴨長明は62歳で世を去りました。
最後の様子は残されていませんが、
おそらくこの方丈庵でひっそりと西方浄土へ旅立って行ったことだと思われます。


 方丈記庵跡碑

 河合神社の方丈庵
        

 方丈庵奥の炭山村

方丈庵への登山口 法界寺