井手の玉川

今回は京都の史跡愛好者の集う「都草」の案内で、南山城井手町を巡りました。

JR玉水駅からすぐ近くを流れる井手の玉川は、
奈良時代から橘諸兄(たちばなのもろえ)が植えたと伝えられる山吹の名所として数多くの歌に詠まれ、
日本六玉川のひとつに数えられています。

又ここは清流の歌姫と呼ばれた美しい声で鳴く蛙(かわず)の名所でもありました。
昭和28年の水害で、山吹と蛙は大きな被害を受け、
代わって植えられた約500本の桜が今年も玉川堤を満開に彩っていました。
玉川は「平成の名水百選」にも選ばれ、土手には昔をしのぶ山吹の黄色い花も見られます。

桜の堤は「歌碑の道」とも呼ばれ、万葉集の編纂にあたった橘諸兄をはじめ
井手の山吹や蛙詠んだ万葉歌人の歌碑が21余りあります。

元弘元年(1331)笠置山で挙兵した後醍醐天皇は幕府軍に追われ、
この玉川上流にある大正池の近くで捕らわれの身となりました。



 玉川 桜と山吹
 源実朝歌碑

山吹の花のさかりになりぬれば 井手のわたりにゆかぬ日ぞなき
                                   

 後醍醐天皇旧跡へ 東1里半

 満開の桜